ロボカップ、ロボカップジュニアとは
ロボカップ ( RoboCup ) は、西暦2050年までに「人間のサッカー世界チャンピオンチームに勝てる自律型ロボットのチームを作る」という夢を掲げ、ロボット技術を育成するプロジェクトで、主に大学の研究室や企業が参加しています。テーマはサッカーだけでなく、災害現場でロボットによる救援活動を行う「レスキュー」、家庭の日常生活での活用を想定した「@ホーム」、工場での物流や倉庫管理をテーマにした「インダストリアル」などのカテゴリーがあります。
他のロボット競技会と異なるロボカップの特徴として、出場するロボットは人間がリモコンで操作するのではなく、ロボット自ら判断して行動する『自律型ロボット』だということがあります。競技中にロボットに触れるとペナルティとなります。 (RoboCup Rescue Robot リーグのように、リモートコントロールで操作する競技もあります。)
ロボカップジュニア ( RoboCupJunior ) はロボカップのカテゴリーのひとつであり、19歳以下の子供達が対象です。次世代のロボカッパーおよび技術者育成を担う新しい科学教育プログラムとして、世界大会には35カ国以上が参加しています。競技は主にロボット2対2で行うサッカー ( Soccer League )、災害現場での被災者救助を想定したレスキュー ( Rescue League )、ロボットと人間の協調による自由な演技の オンステージ ( OnStage League ) の3つで構成されています。他の競技会と異なり、世界大会まであるため海外の選手と戦えることが特徴の1つです。
ワールドクラス と チャレンジクラス
ロボカップジュニアは、大会参加実績や競技レベルで下記のように2つのクラスに区分されます。
■ワールドクラス( World Class ):世界大会に出場する日本代表選抜を行う競技で、上位チームは世界大会出場への推薦を受けることができます。
■チャレンジクラス( Challenge Class ):日本独自の競技で、世界大会への推薦はありません。
ワールドクラスの競技は経験者が多く出場する競技であるため、初めてロボカップジュニアに参加するチームはチャレンジクラスの競技へ出場してレベルアップすることをおすすめします。
サッカー ( Soccer League )
自律型ロボット各チーム2台によるサッカー競技です。ルールは通常のサッカーと同様に相手ゴールにボールを入れて得点を競います。サッカーオープンではオレンジ色のボールを使い、サッカーライトウェイトやサッカーエントリーでは赤外線を発光するボールを使ってサッカーを行います。
サッカーのロボットは、360度自在に動けるオムニホイールを使うことが多いですが、初級向けのサッカーエントリーでは禁止されています。サッカーエントリーでは、レゴを使ったロボットで出場するチームが多いです。ワールドクラスでは、チームメンバー自らロボット本体を設計し材料の加工、基板を設計してはんだ付けをするなど本格的なロボットも多く出場しています。
試合は10分ハーフ、前後半の合計20分。レベルの高いロボットは素早く的確な動きをするため、迫力のある試合が見られます。一度の大会で数多くの試合を戦う必要があり、ロボット同士の接触も多くあることから、ロボットの耐久性や故障した場合の対応も重要になってきます。
■ワールドクラス サッカー オープン( Soccer Open )
■ワールドクラス サッカー ライトウェイト( Soccer Lightweight )
■チャレンジクラス サッカー ライトウェイト ユース( Soccer Lightweight Youth )
■チャレンジクラス サッカー エントリー( Soccer Entry )
サッカーエントリーはレゴで作られたロボットも多く出場しているため初めてでも参加しやすいです。チャレンジリーグのロボットは丁寧な動きで確実にゴールを決めます。
サッカーライトウェイトでは、オムニホイールを使ったロボットが多く出場します。俊敏な動きによる試合は見応え満載です。
サッカーオープンでは、カメラを使ってオレンジ色のボールを追いかけます。また、キッカーやドリブラーなどを装備したロボットも多く、本格的なロボットが多く出場します。
レスキュー ( Rescue League )
災害現場での被災者救助をミッションとしたロボットによるレスキュー競技です。人間が操作することなくロボット自身で周りの状況を判断し、ラインを辿りながら、ライン上の様々な障害物をのりこえ被災者のもとへ向かいます。進んだコースの距離や避けた障害物の数、助けた被災者の数、そしてそのスピードで得点が決まります。
レスキューはレゴをベースとしたロボットが多く出場しており、被災者を確実に見つけるセンサーの使い方、被災者を助ける機構に各チームの工夫が多く見られます。また、少数ですがサッカーのように自分で設計した基板や加工した材料で作ったロボットも出場しています。
サッカーのように派手さはないですが、ロボットが障害物を乗り越えられるか、被災者を助けられるか見ているとドキドキする場面が多くあります。
レスキュー競技は、コースがラインで示されたレスキューライン、壁で囲まれた迷路状のフィールドを探索するレスキューメイズ、仮想のフィールド上でプログラミング技術を競うレスキューシミュレーションがあります。
■ワールドクラス レスキュー ライン( Rescue Line )
■ワールドクラス レスキュー メイズ( Rescue Maze )
■ワールドクラス レスキューシミュレーション( Rescue Simulation )
■チャレンジクラス レスキューラインエントリー( Rescue Line Entry )
■チャレンジクラス レスキューメイズエントリー( Rescue Maze Entry )
レスキューラインは、黒い線を辿って被災者のもとへ向かいます。ラインに分岐があったり、障害物があったりとレスキューするまでも多くのミッションがあります。
銀色のボールが被災者を模したものです。被災者をキャッチして黒色の安全帯に運ぶことがミッションです。被災者をキャッチするのは想像以上に難しく、キャッチする機構が腕の見せ所です。
レスキューメイズは壁で囲まれた迷路を探索して、文字や色のシールの被災者を見つけて知らせる競技です。迷路を効率よく探索するには高いプログラミングスキルが必要になります。
オンステージ ( OnStage League )
自律型ロボットによるステージパフォーマンス競技です。チームで選んだ音楽に合わせ、ロボットとチームメンバーによるパフォーマンスが行われます。演目は各チームで自由に決めることができるため、最も自由度の高い競技です。
面接方式のインタビュー審査と実際にロボットが演技をするパフォーマンス審査があり、審査員がロボットの構造面やプログラミング技術、そしてエンターテイメント性などを評価して、その得点によって順位が決まります。
見栄えのする大掛かりなロボットも多くいますが、一方でレゴをベースに製作したロボットでも、高いエンターテイメント性やロボットの構造、プログラミングによって上位に入賞するチームもいます。
■ワールドクラス オンステージ( OnStage )
■チャレンジクラス オンステージエントリー( OnStage Entry )
練習通りに演技を成功させられるかが、順位を決める大きな要素のひとつです。
チームメンバーも衣装を準備して、ロボットと一緒に演技します。ロボット一緒に演技できると高得点となります。
ロボットに詳しい審査員によるインタビューを受けます。メンバーはとても緊張しますが…頑張って作ったロボットをたくさんアピールしましょう。