2026千葉・フロンティア賞結果
ロボカップジュニア2026千葉ノード大会では、審査員特別賞として「フロンティア賞」が用意されました。チャレンジ精神を持って取り組んだ、興味深いロボットを製作・制御したチームを表彰しました。参加者が多いレスキュー競技と入門者向けライントレース競技のそれぞれで、審査員による審査で決定しました。副賞として、オリエンタルモーター株式会社様よりご提供いただいた、ステッピングモーターをお渡ししました。ご協賛をありがとうございました。
■レスキュー競技フロンティア賞
チーム「鳩サブレ愛護団」
審査員の湯口様より、授賞理由を頂いていますので紹介します。
★★★★★★★★★★★★★★★
ロボカップジュニアのレスキュー競技と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
そうです、何かをレスキュー(救助)するためのロボット技術(レスキューロボット)に関する競技ではないでしょうか。
実際にロボカップジュニアとは関係なく、レスキューロボットとは一般的に被災者を救うためのロボットです。
今大会では、様々な事情があったかとは思いますが、競技での被災者を救出するための技術開発に取り組めていないチームが多くありました。
そのような中で、チーム「鳩サブレ愛護団」は、被災者を粘り強く見つける技術を搭載しており、実際に競技内でもそのパフォーマンスを発揮し、被災者を見つけることができていました。
その粘り強く被災者を見つける技術ですが、具体的には、センサで何回も被災者候補を計測して、複数回計測したセンサの値をもとに被災者かどうか判断をしていました。つまり、1回のセンサの計測だけでは判断しないということです。これは、一般的な計測技術においても有効なアプローチです。
確かな技術とともに被災者を果敢に見つける、チーム「鳩サブレ愛護団」の姿勢は、フロンティア精神にあふれると思い、フロンティア賞に選出しました。
ルールに基づいて様々な戦略を立てているチームもいるかもしれませんが、何のためのレスキューロボットなのかも意識しながら開発を進めていくと、新たな視点や様々な開発技術も得られるのではないかと思います。
★★★★★★★★★★★★★★★
■ライントレース競技フロンティア賞
チーム「わかめ」
審査員の大西様より、ライントレース競技全体についてのご講評と授賞理由を頂いていますので紹介します。
★★★★★★★★★★★★★★★
ライントレース競技全体について
どのチームのロボットも、自分たちだけの工夫がたくさん詰まっていて、この大会に向けて一生懸命頭を使って準備してきたことがとてもよく伝わってきました。特に、次の2つの点が素晴らしかったです。
1つ目は、最後まであきらめずに粘り強く頑張っていたことです。見事に完走できたチームはもちろんですが、当日急に動かなくなってしまったチームも、最後まであきらめずに調整を続けていました。もっと良いものを作りたい!と思ってギリギリまで粘るその前向きな気持ちを、これからもぜひ大切にしてください。
2つ目は、チームの枠を超えた協力プレーが見られたことです。今回はチーム対抗戦なので、周りはライバルのはずです。しかし、うまくいかないチームにアドバイスをしたり、部品やパソコンを貸してあげたりする場面が見られました。実は、このような協力は、プロのロボット開発の現場でも行われています。例えば、世界中で使われているROS (Robot Operating System)というロボット用のソフトは、プログラムの中身がインターネットで全て公開されています。そして、世界中のエンジニアがお互いに知恵を出し合って、協力して開発を進めています。ロボット作りはとても複雑で大変なので、一人ですべてをこなすのは難しいものです。これからも、困っている人を助け、そして自分も誰かに助けてもらいながら、仲間と一緒に成長していってください。
フロンティア賞について
フロンティア賞は、チャレンジ精神を持って取り組んだ、興味深いロボットを製作・制御したチームに贈られます。今年度は、オリジナルのアイデアで課題に立ち向かったチーム「わかめ」にこの賞を贈ります。
このチームの素晴らしいところは、コースの難所である急カーブを攻略するためのアイデアです。本チームは急カーブを曲がりきるために、ロボットの首(進行方向)を勢いよく振るという作戦を思いつきました。しかし、この方法だと勢い余ってコースの中心から大きく外れてしまいます。そこで、車体の大きさをルールギリギリの大きさ(25cm×25cm)まで大きくすることで、どんなに振られても車体の一部がライン上に残るように工夫しました。完走するための課題をしっかりと見つけ出し、それをプログラムと車体の形の両方を組み合わせて解決した点が非常に素晴らしいと感じました。
さらに、SPI通信やPID制御といった、大学で習うような非常に高度な技術にも積極的に挑戦していました。チャレンジ精神を持って、オリジナルの工夫で完成度の高いロボットを作り上げたことを称え、フロンティア賞を贈ります。
★★★★★★★★★★★★★★★

